2015年08月21日
昭和の匂いがする③

富士重工業ラビットスーパーフローS601C(価格:166000円)
戦後スクーター全盛時代を代表する富士重工業、ラビットのフラッグシップモデル。快適な乗り心地と最高速100km/hの高性能で、国内ではスクーターの王様、アメリカではスクーターのキャデラックと呼ばれ、’57年から’68年の永きに亘り王者として君臨した。

古びたアルバムの片隅の、セピア色の1枚の写真の中で、若い日の父と母が幸せそうに笑っていた。精一杯気張ってお洒落をしたのか、父はまるで平凡パンチから抜け出たようだ。ネッカチーフとサブリナパンツ姿の母を後ろに乗せて、ラビットに誇らしげにまたがった父は自信に満ち溢れ、眩しいばかりの笑みをこぼしていた。僕の知らない父と母の恋愛時代。そこにはいつも父御自慢の愛車ラビットが在った。スクーターのキャデラックだぞ、それが後年、父の口癖だった。おそらくは母とラビットと共に過ごしたあの頃が、父にとって最も輝いた時代だったのかもしれない。誰にでもある眩しいばかりの青春時代。東京オリンピックで街の景観が劇的に変わりつつあった昭和39年、日本のモータリゼーションも近代化を迎えていた。あの頃、父はラビットと共に確かに時代の最先端を走っていた。(説明書から)
応援お願いします。
↓

にほんブログ村
Posted by Ta-san at 09:55│Comments(0)
│日々の出来事